当事務所は数百社のベンチャー企業の盛衰を身近で見てきました。
ベンチャー企業で成功している会社には、共通項があります。
その共通項を簡潔に以下にまとめました。
少しでも御社の経営のご参考になれば幸甚です。
1.ターゲットを絞って破格な商品を創る
月並みな商品やサービスでは、だめです。
ただ、ベンチャー企業の経営資源は、限られています。
ターゲットをしぼって破格の商品を作ってください。
そのためには、どこかを削ってコストダウンをする必要があります。
私が住んでいるマンションの近所に、20席しかないのに年間売上1億円をあげている天丼屋さんがあります。
破格の低価格でとてもおいしい高級天丼を売っています。
そのかわりに、品数は2品しかありません。
品数を絞って、仕入れ価格を抑え、業務効率を上げて価格を抑えているのです。
ターゲットを絞り、効率化をはかり、ダントツの商品やサービスを創ってください。
2.イノベーションの重要性
いかなる商品、サービスも必ず陳腐化するという危機感をもってください。
ですからイノベーションは避けられないのです。
新商品の開発は、社長自らが行ってください。
部下任せにしても、何も生まれません。
3.決算書の読み方を覚える
売上だけに注目しないでください。
人件費、経費、在庫、設備投資にも眼を光らせてください。
売上の伸び以上に人件費や経費が増大したら赤字になります。
在庫や設備投資に無駄な投資をしたら、資金不足となります。
4.戦略的経費枠は赤字でも確保してください
成功する社長はケチです。
ただ、一方で成功する社長は、お金の使い方を知っています。
戦略的な経費は、赤字になっても確保してください。
販促行為や、新商品開発をやめたら企業は終わりです。
かならず予算を確保して前向きな投資を継続してください。
5.ワンマン経営
社員に任せるのは決定事項の実施であり、意思決定そのものではありません。
あらゆる重要な決定は、社長自らが行ってください。
ワンマン経営でなければベンチャー企業はうまくいきません。
6.事業計画書を作る
事業は、人、物、金とさまざまなことを考慮しなければならないので、計画に落とし込んでシミュレーションをしなければ、どんな経営の天才でも大きな失敗を犯します。
事業計画書を作ることにより、利益を確保するための正解が見えてきます。
また、事業計画によって社長は、社員の不安を取り除くことができます。
社員には未来を描く能力はないし、社長が考えるより100倍は、社員の未来への不安は大きいのです。
事業計画により社員の離職率は劇的に下げることができます。
事業計画書は、社員だけでなく、銀行の不安も取り除いてくれます。
成長資金を確保する面からも、事業計画書は大切なのです。
A4一枚でもよいので、事業計画を作成してそれを社員や銀行に見せてください。
7.経営意思決定の仕方
あたらしい商品、販促にチャレンジするときには、売上の増大ではなく、利益が増大するかどうかを判断基準にしてください。
そのためには、増し分原価の発想をすることが大切です。
売上の増大と、コストの増し分を比較して利益計算をするのです。
8.人を活性化する
たとえアルバイトでも、人を雇うなら活性化させなければ損です。
考えさせ、発言させ、行動させ、反省させてください。
指導し続ければ、わずかながらも人は進歩します。
わずかな進歩でも企業の利益は確実に増大します。
9.目標管理と給与の設定
利益は、人のやる気を通じてしか生まれません。
だれでも怒られながら仕事をしたらやる気はでません。
一方で、社長からすれば、社員にはもっと働いてもらいたいと思っているはずです。
人間は、目標があるとそれに向かって努力するという不思議な動物です。
この習性は利用しなければ損です。
社員に自発的に目標を立てさせ、この目標と報酬を連動させることにより、社員にやる気を起こさせることができるだけでなく、無駄な人件費を削ることができます。
10.設備投資の仕方
設備投資の回収期間は、耐用年数の半分ぐらいに見ること。
市場は激しく変化しています。
設備は陳腐化すれば、減価償却は利益を圧迫し、借入金の返済は、資金繰りを苦しめます。
11.利益と資金繰り
利益と資金繰りは異なります。
利益が出ていても、資金繰りが苦しい会社はたくさんあります。
では、利益と資金繰りのどちらが大切でしょうか?
ベンチャー企業は、資金繰りを重視すべきです。
資金がショートすればどんな優良企業もその瞬間に潰れるからです。
資金繰りを軽視して、利益しか見ない経営は危険です。
経理部長や税理士事務所から、貸借対照表や資金繰りの説明をきっちりと受けてください。
以上、ご参考になれば幸甚です。
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