お金がなくても、現物出資という方法を使えば、モノを出資することにより、資本金を大きくすることができます。
会社を設立する際には、資本金の大きさはとても重要です。
資本金の額が小さいと、創業融資で調達できる額が小さくなったり、これから取引をしようとする得意先や仕入先から信頼をえられなかったりします。人を雇うときも資本金が小さすぎると安心してもらえません。
出資できるお金がないと資本金はどうしても小さくなってしまいます。しかし、現物出資によりお金にかえてモノを出資すれば、資本金を大きくすることができるのです。
ただ、資本金が1千万以上になったり、1億円を超えたりすると税務上、不利な取り扱いを受けたり、登録免許税(1,000分の7)が余計にかかったりしますので、調和のある水準に資本金額を設定することが大切です。
▼現物出資とは
会社に対する出資は通常は金銭で実施されますが、一定の手続きを経れば、金銭にかえてモノを出資することができます。このモノを出資する行為を現物出資といいます。この場合の『モノ』には、車、パソコン、機械、備品、土地、建物、有価証券、金銭債権、特許権、ソフトウェアなどが含まれます。範囲は意外に広く、非上場株式、売掛金、貸付金、知的財産権なども現物出資することができるのです。
現物出資は、金銭が不足しているが、資本金を大きくしたい場合には、ぜひ活用したい手法です。
▼現物出資の手続き
現物出資をする際には、裁判所に選任された検査役の調査が必要とされています。
ただ、検査役の調査は、コストも時間もかかるので、現実的な選択ではありません。
次のいずれかを満たす場合には、現物出資の際の検査役の調査を避けることができます。
- 現物出資財産の価額が500万円以下の場合には、検査役の調査は不要です。
- 発行する株式数が、発行済株式総数の10分の1以下である。
- 公認会計士、税理士、弁護士等の評価証明書があれば、検査役の調査は不要です。ただし、現物出資する財産が、不動産の場合には、さらに不動産鑑定士の鑑定評価が必要とされます。
- 有価証券を現物出資する場合には、定款記載の価額が市場価格を超えないなら、検査役の調査は不要となります。
- 金銭債権を現物出資する場合で、評価価額が株式会社の帳簿価額を超えないときも、検査役調査は不要です。
▼会社設立の際の手続
会社設立の際は発起人に限って現物出資が認められます。
会社設立の際に現物出資を利用するためには、通常の手続きに加えて次の二つの手続きが必要となります。
- 定款に、現物出資する財産・その価額・出資者・発行株式数を記載する。
- 登記申請の際に、『調査報告書』、『財産引継書』、『資本金の額の計上に関する証明書』を追加で添付しなければなりません。
不動産等を現物出資する場合には、所有権の移転登記が払込期日まで必要となりますが、発起人全員の同意があれば、会社設立後でもかまいません。
▼創業融資と資本金との関係
融資を受ける場合には、資本金額は、自己資金とみなされます。創業融資では、融資額は自己資金の倍までが目安とされています。資金調達は、資本金が大きなほうが有利なのです。事業で実際に使用する財産を現物出資すれば、現物出資による資本金も自己資金とみなしてもらえるので、より大きな創業資金の調達が可能となります。
▼現物出資のメリット
- 社会的な信用 現物出資によって資本金を大きくしたほうが、財務的により安定しているとみなされますので、新規得意先の開拓や、仕入先から与信をとるときに有利です。とくに創業企業では、取引実績がないので、資本金が大きいほうが新規取引先をより安心させることができます。
- 人の採用 人を雇うときも現物出資により資本金を大きくしておいた方が安心してもらえます。
- 融資全般 同じことは金融機関にも言えます。現物出資により、資本金を大きくしておいたほうが、金融機関の信用格付けが高くなるので、お金を貸してもらえる確率や、貸してもらえる額が大きくなります。
- 節税対策 現物出資した資産が、車・パソコン・ソフトウェアなどの減価償却資産であれば、事業の用に供したときから減価償却を計上できますので、その分だけ会社の課税所得を減少させ、節税に役立ちます。
▼現物出資のデメリット
- 譲渡所得 不動産を現物出資した場合には、譲渡とみなされますので、対価となる株式の時価が、不動産の取得価額を上回る場合には、譲渡益が発生し、課税されます。
- 不動産流通税 不動産を現物出資した場合には、会社による新たな財産の取得とみなされますので、不動産取得税や登録免許税が賦課されます。
- 出資者や取締役の責任 現物出資した財産の価額が、定款記載の価額に著しく不足する場合には、出資者や取締役は、その職務を行うことについて注意を怠らなかったことを証明できない限りは、その差額を補填する義務が生じます。たとえば、100万円しか価値のない財産を200万円と過大に評価して現物出資した場合には、その差額の100万円を出資者と取締役は、連帯して会社に支払う義務が生じます。
▼会社設立の基礎知識
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- 基本事項 会社を設立するときにあらかじめ決めておかなければならないこと
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